ネパール調査旅行
2004年7月18日ー23日
[7月18日]
- いつものTG623便でバンコクへ。今回の初めてのネパール行きにはネパールを修論にする予定の宮川,木村両氏が同行。夜には安成さんが合流
する予定。
- 今日のホテルはComfort Suite Airport
Bangkok。空港の外れにある。周りは何にもない。食事するのも中心部へ行くしかない。ホテルへ入ったら早速中心部へ行くのか,いくならタクシーを用
意する,と言い寄られる。とりあえずチェックインして。シャワーを浴び,さっきの男とタクシー代の交渉。B500をB300(これでも高いはず)にさせて
出発。高い分は自分でタクシーを探す手間代と思おう。ちなみに,これはタクシーではなく,白タクであった。
- 最初に案内されたマッサージ屋は1軒離れたところにあってなんか変。値段を聞くとB1000とふっかけてくる。高いと言うといきなりB500
に。それでも高いと思ったのでさらに下げるように言ったら無理だというので,交渉決裂。自分たちで探すことにする。
- 10分ほど歩いて繁華街に近づくとマッサージ屋があった。最初に見つけたところで値段を聞くとB400というので,これ以上探すのも面倒にな
り,ここでマッサージしてもらうことに。ここは背中をかなり頑張って押してしてくれたので気持ち良い。宮川,木村両氏にも体が軽くなった気になって気持ち
良いと言ってもらえる。
- マッサージ屋の近くは屋台ばかりでレストランが無く,仕方なしにサイアムスクエアまでツクツクに乗って行く。よく飛ばす運ちゃんだったがおか
げで早く付いた。意外と近く,B50は高かったかも。
- 以前津田さん達と行ったレストランを探したが,方位や位置が良くわからず見つからなかった。仕方なく,手近なタイ料理屋へ。喫茶店みたいだっ
たが一通りの料理があり,食事にありつけた。シンハを3人で4本空け,タイが初めての木村さんも2回目の宮川さんもおいしいといってくれて,まあ,良かっ
た。
- ホテルに帰って,安成さんとラウンジで少し話し,11時過ぎに就寝。さすがにちょっと疲れた1日。
[7月19日]
- 時差を修正しわすれて,6時半に起きるつもりが4時半に目覚ましが鳴った。着替えて食事へ行く寸前にそのことに気がつき,またベッドへ。もっ
たいないことをした。
- 便の出発2時間以上前に空港につき,チェックインしたのにすでに窓際はなかった。ま,どうぜ雲の中(実際そうだったが),と自分を慰め朝の睡
眠不足を取り返すことにした。
- Kathmandu空港で,シェルパ族のLhakpa Gyalu Sherpa(ハクパ)さんとDHM予報課のBijaya Kumar
Vaidyaさんが迎えてくれる。Shresthaさんもちょっと遅れて到着。ホテルへ向かう車の中で,安成さんとShrestaさんは共
通の友人や町の変わりようなどを話している。さすが30年来の知りあい。院生時代に観測で長期間暮らしたネパールに来,友人にも会えて,嬉しくて仕方がな
いという安成さんの感じがあふれている。
- ホテルは空港の近くにある,すごく見晴らしの良い高級ホテル。チェックインだけして,Shresthaさん,ホテルで落ち合ったNirmal
Hari Rajbhandariさん,Vaidyaさんとスケジュールの打合せ。
- 20日は10時半にホテルに迎えの車が来る。
- 2人で2時間のセミナー枠をとっている
- Kathmandu
Univ.には環境学の教室(研究室?)があり,そこにも声をかけているので,学生たちもくるであろう。そことはDHMと環境モニタリングのMOUを結ん
でいる。
- セミナーの後,Shresthaさんと将来共同研究像に関して打合せ
- 21日はMin. Sci.
Tech.のSecretariatにご挨拶。その後,観測所を見せてもらうことになる。往復4時間ぐらいだろうとのこと。空港にも観測施設はあるが,こ
れは最終日の出発前でも可能なので,後回し。
- 打合せの後,夕食まで時間があったのでハクパさんにKathmanduの市内を案内してもらう。ヨーロッパの中世の民家を思わせるような2階
の張り出しや木枠の窓,非常に細かい窓枠や雨戸の装飾。あなどれない。アイスクリームをご馳走になり,目抜き通り(王宮前の通り,Durbar
Marg)にある中華料理屋(Nanglo)で夕食。春巻もサクサクしていたし,鳥の唐揚げもおいしい。最後に山盛りの焼きそばとチャーハンが出てきて大
満腹。Lhakpaさんのおごり。安成さんには大恩があるのだろうが,我々までお相伴に与り恐縮である。
- 風呂に入って,早く寝る。やはり3時間15分の時差を,体が感じているようだ。
[7月20日]
- 6時半起床。朝食は純日本式だったのでびっくり。漬物やオクラ,納豆まである。味噌汁もおいしかった。置いてあったパイナップルジュースはも
う一つだったけれど。コーヒーもダメだったが,ここでは紅茶を頼むべきだったと気がついても後の祭りである。
- 10:30にお迎えが来る。11時過ぎまでShresthaさんのofficeで話をしてからセミナー。初代DHM長官も聞きに来てくれる。
安成さんが学生で長期観測を行ったときの長官とか。今60代ということで,長官には30代でなっていることになる。早い!
- セミナー会場は向かいのビルの1室。100人近い人たちが席に着いていた。Shresthaさんの紹介の後,まず私が京大の活動を紹介。30
-60日周期の実態は何か(MJOだろう),と朝雨の原因は何か(今研究中),という質問が来る。次に安成さんが,冬の大雪の原因となる擾乱の解析と数値
実験(原さんのD論)を紹介。地形性ロスビーという結論で,きれいな結果だが,観測では傾圧性が見えているのが気になる。浅水の数値実験と理論の対応で大
丈夫かな。さらに,TRMMを使ったモンスーン期の降水分布を紹介。これも見事な絵ができていた。ヒマラヤ山脈のふもととさらに平地よりの2本の降水帯が
見えていた。擾乱や湿潤層の厚さなどいろいろ関係しているのだろうか。
- (注)Archana
Shresthaさんに横井さんの論文を送ること
- 昼食は近くのレストランでネパール餃子(Mo Mo)とラーメン(Tuckpa)。いっぱいMo
Moが出てきて,宮川さんが頑張って平らげようとしたが残り6個でダウン。ここのMoMoはカレー味のdipを付ける。
- Shresthaさんのofficeに戻って共同研究に関して議論(議論内容の詳細はここ)。
学生たちにも議事録をとってもらう。
終わったら5時半になってしまった。時間をとり
すぎたことをわびてホテルに戻る。
- 夕食はホテルのレストランで。メニューもすべて日本語で,ウェイターも日本語での注文を処理できる。女主人が日本人というだけでなく,やはり
日本人がよく利用しているに違いない。手打ち蕎麦があるというので,食事の仕上げに天ざるを注文したら,これがまたおいしい。てんぷらもさくさくと旨く上
がっているし,そばも香りのある田舎そばだったし。皆と「まるで日本にいるようだ」と言い合う。それにしても気温が半袖でちょうど良いぐらいで,ちょっと
湿気が多いが非常に快適な気候。毎日日中も夜も降るかと思っていた雨も人間の活動時間に降らないし,雨期のカトマンズって全く想像していなかったほど快適
である。
[7月21日]
- 10時ホテルピックアップでDHMへ。今日は本省(科学技術省)秘書官へのご挨拶。その間、学生たちはDHM内の各部署を見学させてもらい、
情報と資料の収集を担当。(収集した観測点の情報はここ)
- 11時過ぎにDHMを出発し、本省へ。いろいろな政府中枢の建物が集中した一角へ入る。ギリシア風というかベルリンの凱旋門風というか格式
ばった正面の門を入るときにきっちり検問がある。我々は公用車で入ったが、徒歩で入るのは勤務している職員以外はほぼ不可能らしい。入ったら、中は広大な
公園のよう。首相官邸もここにあるということだった。
- 秘書官(Swoyambhu Man
Amatya博士)にご挨拶。物腰の柔らかな細身の紳士だが、話していてかなり仕事ができそうな感じを受ける。通り一遍の挨拶ではなく、具体的な協力まで
話が及ぶ。多くの大学や機関がばらばらにカウンタ−パ−トと協力協定を結んでいるので、全体を覆うような政府間の協力協定を結べないかと提案される。2国
間協定のようなものと我々は解釈し、また、こちらも異存ないので、安成さんが日本政府に提案すると回答。DHMの職員が2名表彰されたということで、
Shresthaさんも嬉しそう。15分程度の挨拶が終了しDHMへ戻る。
- 学生たちを探しがてら、我々も建物内を案内してもらう。
- Snow and glacial
hydrology部:氷河や氷河湖の調査。12人の正規職員と臨時プロジェクトスタッフで構成。氷河はやはり近年後退している。雪線高度も上昇。冬の気
温上昇よりも夏の気温上昇が氷河衰退に効くはず、という安成さんの指摘あり。安成さんを囲んで数人のスタッフと話が弾んでいる。安成さんも古巣に戻ったよ
うに生き生きしていたが、スタッフの感じも大分バリバリ仕事をしているという感じを受ける。
- デ−タ入力部:送られてきた観測デ−タ表をパソコンで入力中。一人は2004年2月の資料を入力中。これは早いほうで、遠いところはもっ
と遅れて入力ということになるらしい。主に気候調査と保存用の作業ということになる。
- 洪水予報部:SSBで1日2回デ−タをもらうが、降水から洪水発生まで数時間なので、1時間に1回はデ−タが欲しい。そのため、衛星経由
のデ−タ収集を検討中。ただし、日本の気象衛星はデ−タが東京へ送られ、それがGTSで戻ってくるため時間がかかって非実用的と指摘される。気象庁(国交
省?)さん、仕様変更で対応できるなら、喜ぶ国は多いでしょうに・・・
- 昼頃いったんホテルへ荷物を置きに戻り、Khumartar観測所(GPSではN27度39.082分、E85度19.697分)を視察。パ
ン蒸発計の水は濁り、手入れしている様子はない。AWSはあるが雨量計が詰まっていて受水口がプ−ル状態。水垢がべったり付いていて長期間プ−ル状態だっ
たことがわかる。AWSはテストにしか使っていなくて、デ−タはこれまで通りの貯留式雨量計や風程計、温度計などで測定しているとのこと。つまり、AWS
は単に置いてある、というのに近い。
- 夕方までの時間を利用して、近くの植物園を散策。途中で降り出し、植物園到着まで降っていた雨が止む。我々は行いが良いに違いない。
- 帰り道の途中だったので、パタンの旧王宮前で下ろしてもらい、ホテルまで歩いて帰る。何度見てもネパ−ルの窓と窓枠の装飾は見事だ。
- 夕食はShresthaさんの自宅に招かれる。ホテルからあまり遠くない住宅街の一角の3階建て。鉢植えが多く、緑豊かな感じがする。安成さ
んによれば、8年前は周りは農地が多かったとのことだが、いまは住宅やアパ−トに囲まれている。
- 応接室でビ−ルとウイスキ−でアペリチフ。牛乳でつくった湯葉(?)のてんぷらや、チリチキン、チ−ズなどどんどん出てくる。後で聞くと
宮川さんはこちらが話している間に奥様からどんどんウイスキ−をつがれたらしく、半分でき上がっていたらしい。たしかに、体の力が大分抜けている様子で
あった。
- メインはダルバ−ル。とってもおいしい米飯(長米)と豆のカレ−ス−プ、それに10種類ほどもあったおかず。適当に皿に入れて食べる。お
いしかったのでついお代わりをしてしまった。デザ−トは牛乳蛋白(?)でつくった団子(蒸し饅頭のような食感)のシロップ漬け。なかなかいける。腹12分
目になってしまった。
- みんなで写真を撮ったりしていたら、10時を過ぎてしまったので、お礼を言って辞す。今日も盛りだくさんな1日だった。
[7月22日]
- 10時にホテルをピックアップしてもらい、空港の予報部を見学。
- 職員が55人から40人に減少した。
- 観測デ−タはすべてここに来て処理される。(つまり、HQへ行くのは気候デ−タという意味か)
- ホームページに観測値と予報を掲載(www.mfd.gov.np)。利用者(観光客など)を考え、予報や観測値や気候値まで英語で掲載
するのは日本の気象庁より進んでいる?
- 予報現業室も見せてもらう。高層観測をしていないが、イギリスのODA(?)で導入されたシステムで種々の解析や予報図を得られるので重
宝しているとのこと。ただし、システム更新の予算がなく、近々あるサ−バ−の変更によって使えなくなるということだった。
- 11時半過ぎにカウンタ−でチェックイン。慌ただしい出張が終了。
- 出国時の手荷物検査がやたら厳しい。かばんの中の筆箱まで開けるチェック。女性は化粧品入れの中身までチェックされ、いろいろと没収されてい
る。飛行機に乗る手前ではボディ−チェック。なんで出国前にこんなに検査するんだろう?持ち出し禁止の宝石か貴金属でもあるんだろうか。
- 19時前にバンコク着。真夜中まで時間があるので、免税店をぶらついた後、階上のレストラン(TG運営?)で最後の宴会。パッタイや春雨サラ
ダ、ビ−フン麺などをシンハとともに流し込み、飛行機に乗る。
- 今回の夜行便ではあまり眠れなかった。やはり夜行便はつらい。