降水の日変化は,実はあまりわかっていない現象です。海上での降水日変化の原因も不確かですが,陸上での降水日変化も単純ではありません。たとえば夏に限っても,必ずしも頭上で雲が発達して雨が降るわけではなく,大きな山脈の東側では山でできた降水システムが定期的に東に進むことにより日変化がもたらされるようです。このような陸上での降水日変化の支配要因を解明することもおもしろいでしょう。
タイでの降水日変化を2次元数値モデルで再現したアニメーションをQuick Time (977KB)とavi (455KB)で置いてあります。等値線は温位,オレンジ色は凝結物質を示します。インドシナ半島内陸部では,このようなスコールラインの定期的な発生と移動が日変化をもたらす大きな要因だと考えています。
また,同じインドシナ半島でも,周辺部では大分変わった降水特性があることが最近になって認識され始めました。2003年からインドシナ半島の広範囲に雨量計を展開し始めていて,今後はそれらのデータから見えてくる降水の実態の解析・解明を始める予定です。