Journal of the Meteorological Society of Japan: Vol. 74, No. 1, pp. 147-153, 1996.
ピレネー山脈における風下波の数値シミュレーションに関する補遺
里村雄彦
気象研究所
要旨
線形3次元山岳波による運動量の鉛直輸送について、解析解の数値評価を行うことによって調べた。地形として2次元性の良い山脈状のものを用い、平均風が山脈に直角に当たる場合と斜め45度から吹く場合の2種類について計算した。その結果、平均風が斜め45度で山脈に当たる場合には、対流圏界面付近の運動量フラックスは山脈の中心付近でさえ地表近くの1/4から1/3に減ることが判った。また、PYREXのIOP-3で観測された運動量フラックスの減少は、ピレネー山脈が有限の横幅しかないという3次元性と平均風向が山脈に直角ではなかったということとが主な原因であると示唆された。