Journal of the Meteorological Society of Japan: Vol. 66, No. 2, pp. 261-276, 1988.
局地モデルにおける力学的規準モード初期化法
里村雄彦
フランス国立気象研究センター
要旨
Sugiの提案した力学的規準モード初期化法(DNI)を局地モデルに適用し、その有効性を調べた。DNIを局地モデルに適用する場合、積分サイクルに用いるスキームとしてOkamuraのスキームは効率が悪く、インプリシット・スキームが良いことが示される。非線型項もイソプリッシットにしたスキームを近似的に解くことにより、モデルに含まれる総ての物理過程を初期化過程に含めることができた。寒冷前線が計算領域を通過中の事例についてDNIと規準モード初期化法(NMI)との比較を行ったところ、次のことが分った。(1)山脈による水平風のまわり込みやブロッキングはDNIの方がNMIより良く再現される。(2)DNIによる領域平均降水量の改善は大きくない。(3)予報初期3時間の降水量の平均2乗誤差はDNIにより明らかに改善される。
(*)現所属:気象研究所