東南・南アジア調査・セミナー旅行
2003年8月12日〜22日
12日
- はるかで関空へ。阪和線踏み切りで事故があり,15分遅着。こんなことは初めて。列車と言えど遅れることがあることを再認識。あたりまえだけ
れど,忘れていた。
- ホテルはAsian Airport Hotel.
1400B.ちょっと高いけど,まあまあ。隣のショッピングセンターはスーパーかと思っていたら,電気街だった。横の広場ではオープンマーケット。片岡さ
ん,物価の低さに驚いて早速2点お買い上げ。私は,サンダルが欲しかったけれど,もひとつ良いのがなくてあきらめ。市場にはいろんな食材があって,楽し
かった。買い食いは,すぐ夕食の予定だったから我慢。
- 夕食は近くのオープンレストランに行くつもりが,なんとなくピンと来なくてホテルで食事。シンハもいっぱい飲んで,日本並の料金と
られた。
- 部屋に戻ってメールの返事を書こうとしたけれど,目が言うことをきかず,10時頃就寝。
13日
- 8時半にホテルを出発。朝食抜きだったけど前夜が食べすぎだったのでちょうどよい。
- ダッカへの便が45分遅れる。免税店も見飽きているので,早々にゲートへ行く。
- ダッカ空港では村田さんが待っていてくれた。さっそくHotel Golden Deerへ。Golden Bird Hotelはサービスが落ちたのでやめたそうだ。
- ホテルで松本さんの帰りを待ち,両替。1ドル60タカ。100円48タカ。シレットからは車で帰るとのことで,レンタカー代とガソリン代が
かさみ,手持ちのドルでは足らず,日本円2万円も変えておく。意外と物入り。
- 夕食は第1ロータリ近くのベンガルフードレストランへ。おかずは基本的にカレー味。その意味ではタイ料理みたいな変化はない。
- 今回私と片岡さんが一緒させていただくのは,松本,林,寺尾,村田,浅田の各先達。
14日
- 今日からビジネス開始
- 7時半から朝食
- BMDレーダー室見学
- 現在ダッカのみ稼働。本来は他のセンターとつながったネットワークで合成図を作っているはず。
- 長官に挨拶
- 7月は本来雨が多いのに,少なかった。モンスーン自体は平年並(?)
- SOIを降水との相関は良くない。
- 今年は平年からの上下が激しい
- BMDでのセミナー: Japan-Bangladish Joint Seminar on the Present Study of
Meteorology:気象庁関係者を中心に約50人(内,日本人7名)が集まり,盛況。熱心さに驚く。
- 10:30 - 10:35 Opening Address
……………………………………Mr. Akram Hossain (Director, BMD)
Dr. T. Hayashi (Kyoto Univ.)
- 10:35 - 11:05 Keynote Speech (30
min)………………………………………Chairperson: Dr. T. Terao
Dr. T. Satomura (Kyoto Univ.): "Modeling and radar observation of
diurnal variation of precipitation in Indochina."
- 2次元モデル,レーダー,3次元モデルの話をする。
- タイのレーダー運用に関して後で質問に来た(ナシル・ブイヤン)。海岸と南東部のレーダーを更新する予定があるとのことで,ドップ
ラー化も計画中だとか。
- 11:05 - 11:10 Break
- 11:10 - 12:25 Session 1 (15 min for each
speaker)………………… Chairperson: Dr. S. K. Debsarma(BMD副長官)
- Dr. M. N. Islam (BUET): "Characteristic of summer
precipitation in Bangladesh from radar data."
- 6レベルの2.5km格子のレーダーデータから10km格子の雨量に変換
- シレット高地は21ー9時に雨,南東部は0時から15時に雨
- 西部の昼の雨はインドと同じ傾向:土地の状況が他と違いインドに近いのではないか
- Dr. T. Terao (Osaka-Gakuin Univ.):"Diurnal Variation of
meteorological elements in Bangladesh"
- 雨量計データの地域分布の分類,ゾンデ強化観測の結果
- Dr. F. Murata (Kyoto Univ.): "Preliminary results of
aerological data in the summer monsoon in Bangladesh."
- Dr. K. Prasad (SMRC):"On some aspects of monsoon rainfall in
India and Bangladesh."
- インド気象庁退職。3年任期。Saarc気象研究センター所長
- All india indexはENSOと良い関係。バングラディシュは相関が良くない。
- バングラの雨量の増加はゆっくり。これはアッサムなど,インドの東北部と同じ傾向
- モンスーン低気圧はバングラの南にあるので,影響の仕方はインド(の北部や東北部)と違う。
- Dr. D. A. Quadir (SMRC): :"Impact of climate change on floods
in Bangladesh."
- SMRCの総観気象部長
- 流入河川の92%の流域はバングラの外にある
- 13:10 --14:00 Lunch
- チキン・ビリアニとダイエットコーラ(!)の弁当
- ビリアニにライムを搾り,グリーンチリと一緒に食べる。うまい
- Islamさんによると,こんなに研究熱心になってきたのは最近とのこと。同慶の至り。大学側の気象研究者はIslamさんだけ。政
府組織はSMRCのみのよう。
- 14:00 - 15:00 Session 2 (15 min for each
speaker) ………………………Chairperson: Dr. F. Murata
- Dr. T. Hayashi (Kyoto Univ.):"Effects of the climatic
environments on the occurrence of tropical cyclone in the northern
Indian Ocean."
- 予報への適用可能性について質問。問題は必要データの取得
- Mr. Sujit K. Debsarma (BMD): "Numerical storm surge modeling."
- Dr. J. Matsumoto (Univ. of Tokyo): "Variations of typhoons
approaching Indochina and their relationship with monsoon and ENSO"
- インドシナに台風が来た年と来ない年の差
- 8ー9月と10ー11月では海水温の変化が逆:モンスーンの風も逆になっているから整合性あり。
- インドシナの台風シーズンは8ー11月
- ベンガル湾の低気圧発生数と西太平洋のそれとは,逆相関とQuadirのコメントあり
- 15:05 - 16:30 Session 3(15 min for each speaker)
……………………Chairperson: Dr. M. N. Islam
- Mr. K. H. Reza (KUET): "Spatial distribution of rainfall over
Bangladesh for past 5 decades."
- モンスーン期の雨量が最近50年間で北東部のみ増加。特に西部は減少が明瞭
- 年降水量2000-2500mm
- 使っているデータに欠損があり,データの不均一あり
- Mr. H. Asada (Univ. of Tokyo):"The rice production variation
and its relation with flood and rainfall in Bangladesh."
- Mr. S. M. Shahnewaz (IFM: NGO): "Flood forecasting and
warning system in Bangladesh."
- ガンジスの上流の方からバングラに水が届くまで15日以上かかるので,降水の場所によってはリード時間が充分とれる
- Dr. Y. Wagatsuma (ICDDR, B.):"Impact of climatic factors on
epidemic diseases in Bangladesh."
- 医師による生気象!
- 下痢性の病気には2山がある。最初の山は乾燥&低温,2つめの山は雨量と関係あり
- 16:30 Closing remark………………………………………………………… Dr. J.
Matsumoto(Univ. of Tokyo)
- seminarの後,レーダー室へ。
- レーダーは1時間連続スキャンの後,2時間休み。マグネトロンの寿命を延ばすためとのこと。(ナシル・ブイヤン氏談)
- レーダーデータは6レベルのデータしか存在しない
- 種々の変更は,BMDの上部機関が国防省のためなかなか困難。
- 夕食はGolden Deer
Hotelで。事前に大体のメニューをオーダーしておく必要があるらしい。確かに注文してから出てくるまで時間がかかる。明日からは現地視察。
どんな状況でどんな雨が降るのか,楽しみ。
15日
- Sylhetまで約30分の飛行。双発のジェット旅客機!しかもほぼ満席!
- 我々日本人にダッカ大学のHumayun KabirとMostaem
Billah。Kabirはよくしゃべる。Billahはやたら笑う。よさげな人達。
- 現在は主としてAmon種の米(雨期に適した品種),乾季米のBoroは既に刈り入れられているということ
- Jafranで降車,乗船。珍しいのか若者から子供まで寄ってくる。こどもは愛想が良く,こちらがにっこりすると驚くほど開けっ広げな笑顔を
返してくる。鸚鵡返しの日本語がかわいい。
- インド国境近くの砂洲まで往復3時間の船旅。国境はメガラヤ山地の麓。そこから先はインド領ということでデータの入手が難しい。残念。
- 近づくとメガラヤ山地のこちらがわ(高さは不明。100m程度?)はナタで切ったような急斜面になっているのがわかる。断層で盛り上がったか
のよう。
- 近くに設置されているはずの雨量計を見るために大分探したが,国境近くなので危険と止められ断念。そのかわり,道路上にあるインド国境まで行
く。
- 16時過ぎ,Hill Town Hotelへ出発。16:40頃,激しい降水に遭う。立派な積乱雲も見えた。
16日
- 朝食はBillahお勧めのシャヒParata。要は油を使って焼いたチャパティ。
- 8:25頃,激しい降水あり
- 10時Hotel出発。気象台まで歩いていくことにする。
- 気象台の所長はSayeed Ahmed
Choudhuryさん。昨年末にJAICA研修で日本に2ヶ月滞在したとのことで,歓迎してもらった。サングラスのよく似合う知的な人。
- 柏の気象大学校から林さん(2年生)が来ていた。こんなところで同業者に会えるとは。
- パイバル放球を見学し,所長に話を聞く
- pre-monsoon期にはガストがあるが,モンスーン期にはない
- 風が南・北のどちらから吹いていても,風向が変わると雨が降る。
- 本日の雲底は約1km程度
- 風向風速の連続記録はあるが2ヶ月巻き(!)。昨日の原簿を写真に撮るだけで我慢。原簿や自記紙の類いは1ヶ月まとめてDhakaの気候
センターへ送付しているとのころ
- 露場の測器を見せてもらう。1日巻きのサイフォン式自記雨量計が稼働。村田さんが7日の自記紙を見せてもらったが,激しい降水のためインクが
流れていて判読不能!
- ホテルに戻った直後の15:30驟雨。17時前,横井さんの原稿のチェック修了。
- Sayeed所長の話
- チッタゴン大学出身。ロシア帰りのベンガル人の大気物理教官が3人居るとのこと。セミナー時のイスラムさんの認識は誤りか?しかし,大気
物理の教官がいるのは(イスラムさん以外は)チッタゴン大学のみらしい。
- Sylhet気象台(チッタゴンと並んでちょっと大きな気象台)からダッカへのデータ送付は,確実を期すためテレタイプと音声無線
(SSB)とで
行っている。(頻発する?)停電のときには,電話でも送付。
- SylhetとLondonがドバイ経由で結ばれているので(我々の到着日はその連絡便となっていた),Sylhet空港のデータは重要
だ
そうだ
- 雑知識
- Keru & Companyがサトウキビで酒「バングラモーン(バングラワイン)」を製造・販売
- さよならはビダーイ,大丈夫はオショビジャナイ
- 夜10時半頃激しい降水。夜半にも激しい降水
17日
- 朝7時朝食抜きで出発。ダッカまで車で移動。
- 車の中で片岡さんのテーマについて松本さんと3人で相談。
- マダブンドゥを通過。
- この近くでのみ水牛を耕作に使用
- エコパーク(環境保存公園)で休憩・朝食。気温は低いが湿度は高い。朝食はチャパティと野菜のカレー煮
- モロビバジャールを昼過ぎに通過。既に,朝7時半頃,8時頃,9時前に驟雨や弱い雨の降水があったがまた激しい降水。雨が多い
- Kabirによると,ダッカ大学の学生の休暇は10日ずつの休みが2回ある他,ラマダンで15日間休み。また,6月1ヶ月が休み。他の大学は
7月が休み。
- 12時間半の行程で7時半にダッカのホテルへ帰着。Kazi
Sirazの運転は上手い。夜は無灯火のリキシャや車幅灯の無いオトリキシャが向かってくるので,とても我々には運転できるものではない。
18日
- 8時過ぎに近くのマーケットに向かう。ものすごい湿度。立っているだけで汗が流れ落ちる。
- 10時過ぎに空港気象台へ。連絡がうまく行っていず,入構許可をとるためゲート前で1時間半待機。
- 許可をとるために奮闘してくれたのはManzurul Hoque
Khanさん。94年に日本で研修をしたそうだ。あとで,林さんがアポを取っていたシャラーム氏が現れる。
- 滑走路は2本あるが平行なので1ヶ所で気象要素を測定。室内の表示装置はJapanのシールがはっていて,BMD
HQと同様,JAICAの援助で導入か。シーロメーターと視程計は故障している。
- 3時過ぎにIWMのSardar Mohammad
Shah-Newaz氏に面会。笑顔がかわいく,ヒゲのおじさん。立ち居振る舞いや応対が西欧人のような印象を受ける。こちらの人はしゃべるしゃべる。そ
のあと,高潮モデ
ルをしているNasreen Mohalさんに軽く話を聞きに行く。
- IWMでは大学の院生を受け入れて指導もしている。外国と共同研究も。
- 19時からFairwell
Party。10時まで歓談。
- 写真をPCにも保存して少し整理。パッキングも大体終わらせて1時
過ぎ就寝。
19日
- のどが痛い。大気汚染か?毎日しゃべりすぎたか?うがいをしたら少し気持ち良い
- 7時半朝食。11時ホテル出発
- 4時半DonMuang着。鼎さんと芳村さんが待っていた。バンに荷物と人間を詰め込んでKU-HOMEへ。やたら良い宿舎。1000Bの価
値あり。
- 17時からHansaさん主催のDinner。近くの海鮮料理屋。
- 夕食後の2次会のときに明日のkeynote speechを頼まれる。えらいことになった。
- スピーチの準備をして,3時過ぎに就寝。
20日
- 8時半に会場に着く。KU-HOMEから歩いて5分
- Hansaさんが日本語を交えた挨拶。Deputy Dean, Deanの挨拶に続いてkeynote speechを行う。緊張した。
- Niponさん(この9月で退官)はpptスライドを使って挨拶。
- Photo, Break
- 安形:DBの説明
- 沖:GAME-T全体の説明,キムさんの改良SiB2の結果で水田が熱収支とチャオプラヤの流量に及ぼす影響。水田面積の増加により乾季は発
散,雨期は水田からの蒸発が流量を減らすことを紹介。
- 里村:モデルの結果
- 蔵治:雨量の高度依存の実態。水問題(特に年最小流量の減少が顕著)。
- 鼎:イサーン地方の9月の降水量減少のモデル
- Lunch
- Dutta: 都市&県レベル洪水の再現
- Saisunee: タイでの水の使用の56%は農業,次に多いのは水力発電
- Veerasak (AIT): タイ各地の雨の降り方の比較記述
- Hawkins (Sydney Water Coorporation): 水質
- Honda (AIT): Remosensingを使って植物活動指標を計測,モデル結果を修正
- Break
- Sukit: GISを使って小規模の水力発電ダムと発電所の設置場所の選定
- Suwatana (Kasetsart Univ): 人工知能による流量予測
- Hansa (Kasetsart Univ): GISを使って洪水の様子をチェック
- Kittiponge Sumipan (NRCT):
ノーベル賞をとるには1日15時間働け。
- NiponさんがClosing Remarks
- 夕方KU-HOMEでDinner。OpeningをNiponさんと私がすることに。私たちの後に皆さんが並んで会食開始。
21日
- 朝6時過ぎ,今日帰国組の林,寺尾,村田,片岡さん達をお見送り。ビジネスの世界へ突入。
- 8時前,松本,津田,余田さん達とチュラロンコン大へ。TMDからの助教授ブッサナスリ・タダさんと初面会。ナット君がパソコンに向かってい
た。車に分乗してTMDへ。
- TMDのラジオゾンデは5ヶ所。すべて手動高射砲方式のよう。
- 昼前にチュラに戻って,前学科長のソムチャイさんを交えて懇談。昼食はソムチャイさん招待でチュラ大のゲストハウスのレストラン。
- チュラの休みは3月から5月まで。その内,3月の初めは試験期間。その他,10月も休み。
- 2時から学科長他5〜6人を相手に余田さんがCOEのプレゼン。学科長の好意的な対応。学科長退席後,
より突っ込んだ懇談。我々が帰国後,打合せを行って,なるべく早期にオフィスを稼働させることで同意。
- 夕方すごい驟雨。その後数mm/hのあめが続く。
- 宿に戻ったら10時前。
22日
- KU-HOMEの払いをするとき,最初にDepositで渡したB3,000が返してもらえず,押し問答に。しかし,どうしようもなく,ま
た,空港までのタクシー代も何とかなったので,あきらめ。昨夜に確認すべきであった。
- 飛んで1時間ほどしても極く薄い雲の中を飛んでいる。上空には巻雲が見える。下は一面の雲(層雲?高層雲?)。スチワーデスさんに聞くとダナ
ンを10分程前に通過して,高度10km程度とのこと。太陽の周りに2重の虹も見え,ちょっと幻想的だが写真には撮れず。
- 定刻に関空につき,今回の旅行は終了。