Vietnam気象事情
2003年11月13-18日
ハノイ大
- ハノイ大:ハノイ大は工学ではなく科学(社会科学も含む)の学部だけで構成。1学年5000人(!)ベトナムで1番大きな大学。
- Faculty of Meteorology, Hydrology and Oceanography:36年前に設立
- 教授はKieu Thi
Xin(女性)さん。Tanさんところの部下のLuanさんが大学まで連れていってくれる。埼玉大で水環境学の修士号を取った女性。
- 教授4人,助教授1人,で計8人の職員,4人の博士課程院生。学部生は10〜20人,1/3程が大学院へ。
- ドイツ気象局,ミュンヘン大学,イタリアITCP(?)などと協力関係に有り
- 学生の就職先はベトナム気象局が主
- ベトナムに大学院まで有る気象教育はハノイ大のみ。college(2年の短大?)なら他にも有る。
- 短時間予報はドイツのHRM,領域気候はNACRのRegCMをPC(Pentium IV, 2GHz)走らせている。
- 博士課程の学生を1年程度海外の大学に預けて研究させる制度(サンドイッチ制!)有り。完全に3年間預けるのはなぜかあまり乗り気ではな
い印象
- HRMは14km格子(161X161)31層で短期予報実験をしている。そのための3次元変分法客観解析を博士課程1年の院生が開発&
試験中。ベトナムと中国のデータしか解析に使っていないのに,結構初期の入力値を変更しているのか,雨の降り方が違ったりしている。
- RegCMは56km格子東西150度南北25度でインドシナ半島の1ヶ月降水量を計算。インドシナでやはり雨が降らない。私のMM5の
3週間計算と同じ。何か共通の欠陥が有るに違いない。
- part-time
studyというから夜学かと思えば,昼の普通の講義の他に専門外の講義(情報学など)が夜10時又はもっと遅くまで有るのだそうだ。なんという勉強熱
心
気象水文局
- 会議出席者: Dr. Tran Duy Son (vice director of upper air observation),
Phan Van Duc (southern region met center), Phan Van Kun (Dr. Hydro-Met.
College of Hanoi), Ms. Duong Lien Chau (Deputy Director of National
Center of Hydro-Meteo Forecasting), Le
Dinh Vinh (Head of Technichal
Div. of Aero-Meteo. Observ.), Tran Dank Hoa (Manager of Equepment
Division of Upper Air Obs.)
- レーダーネットは5台(Cバンド),来年はホーチミンについて6台になる。しかし,地表観測がそれほど密ではなく,更正がうまくさ
れていために雨量計測としては使えていない。3 French conventional radars (Thomson, Trs2720,C
band), 2 American Doppler radars (EC Radar, DWSR, C band)。保存は
Tape または CD-ROM。ルーチンでは3 時間毎。特別な場合には1時間に何回もまわす
- オゾンゾンデの打ち上げは,ゾンデを提供してもらえれば問題ない
- オンセットの早い遅いが問題 ← 最先端の研究課題なので難しい(安成)
- 現在の長期予報は,統計手法と他のセンターの予報結果とを併用
- operational regional model を PC-cluster 上で動かしている
- ハノイ,ホーチミン,サパ(シャパ)でオゾン全量を観測
- ベトナム側の問題意識:モンスーンの研究は台風を重視していたためあまりしていない。研修や研究のサポート,南西モンスーン時の領域ス
ケールの特徴に関する知識やモデルが必要
- 数日前のベトナム中部の大雨の予報:場所は当たっていたが,量が少なすぎた。この時期,北西モンスーンとITCZとの境の近くで,毎年大
雨が起こるが今回は量が多かったということらしい。松本さんに聞くと,ベトナムの雨期の終了は今ごろだということだが,これはITCZ付近の雨なのだろう
か?
- 今年から3年プロジェクトで,5月から12月(11月?)の雨期の降水現象発生時には5分スキャン(連続スキャン?)でのレーダー観測をす
る。
- ゾンデの受信施設を見せてもらう。デジコラの受信機,地上でのチェックをして悪いゾンデは撥ねているという。ハノイは大分以前から1日2
回,ダナンは2001年から1日2回,ホーチミンは来年から1日2回になる。この不況の時期に頑張っている。
Da Nang Regional Center
- 出席者:Hoang Tan
Lien(副台長),Lang(予報課長),Se(ネットワーク課長),Mai(高層課長),Tanhさん。
- 雨量計2台を提供できるので,場所を選定して欲しいことを伝える。Basin
scaleだと例えば3角形に置くことも考えられる。川に沿っておくことも可能。台数が少ないので,局地性の大きな山岳内よりなるべく平地に置いてレー
ダーをチェックし,レーダーで山の中を見た方が良いのではないかと付帯意見をつけておいた。我々は雨量計とロガーを日本から持っていき,モデムや携帯電話
はベトナムで買うことにする。
- ダナンは南部とも北部とも気候が違う。南西モンスーン時はフェーンが起こり,乾燥して干ばつ。北東モンスーン時は豪雨と洪水が10ー11
月に起こる。
- 川が急なのでflush floodが起こりやすい。
- レーダーサイト:Fu Lien (in Hai Phong, '99), Viettri('00設置,翌年運用),
Vink(00年), Tam Key ('98), Nha Trang ('00), Nha Be (In HCMC,
'04)。このうちTam Key以降はベトナムの自前の資金でアメリカ製のドップラーレーダーを購入。それより北のはフランスのODA。
- レーダー合成図は'04のホーチミンのレーダーができてからシステム作成予定
- Tam
Keyのレーダーで雨量計測をr=120kmでするとしたら,その中に10の測候所。1日巻きの自記雨量計。異常事は8回又は24回観測
- この付近は気候の南北の分かれ目になる山脈がある
- レーダーはEDGE製。
- Chief:Pham Van Duong(DはZの発音をする)
- コントロールはdigital alpha
ws。外付けDATあり。LANで隣のPCと接続。Alphaで作ったプロダクトをftpでPCに転送。EDGEからデータフォーマットをもらい,自前で
読み取り&表示プログラムを作成している。ファイルを56K modemでDa
Nangへ送る。そのためリアルタイムで画像を見ることはできないが,10分以下の遅れで転送できるという。
- Radar beamwidth=1deg., C band
- 出力がかなり低くなっているのか,エコーがなり弱いしfilterをかけると近くのエコーが無くなる。
- 地方時で時刻を表示
- 地上観測もしていて,1shiftはレーダーに二人,地上に二人の体制で観測。
- まず気象局の高層課へ連れていってもらう。本局と同じデジコラのMW11。ゾンデはGPS測位の80というタイプだそう。
- 次に予報課へ。14人の職員が3shiftで勤務。短期と中期予報を出している。天気図のデータプロットは機械で,等値線は手書き。低気圧は
T,高気圧はC(それぞれベトナム語)で表示。かなり広い範囲のデータをプロットしているが,中緯度の前線は書いていない。近くのシステムでなければ書か
ないそうだ。予報図は,ハノイの本局が世界のセンターから受け取った予報図をTV回線を利用して配信しているのを利用。
- このセンターでは6地方を統括。大きなRegional Centerはハノイとダナンとホーチミンの3つ。
- 全国には124の測定点(有人),ダナンの管轄は15。測定データはPCからデジタルでダナンに送られ,それをハノイへ送る。
- 冬に台風が来ると大雨になるし,来なくても2〜3日で100mm程度の雨も降る。squall line, tornadoなどもあり。
- 雨の大きなピークは10〜11月,5〜6月にも小さなピークあり。