GAME-T気象水文研究会　2001.05.19　箱根　宮ノ下

オンセット特集

• 午前
  
  • 荻野：前回のサマリー
    　前回での問題点（課題）
    　　オンセット問題
    　　局地循環　　一般風との相互作用
    　　エントレインメントの高さの問題
    　　土地利用変化と雨
    　　10-20日周期
    　　日周期
  • 松本（Hsu et al. 1999, J. Clim.)
    * インドシナ半島は雨の降り始め・温度上昇ともに早い
    * インドシナモンスーンオンセットの20日前：スマトラとチベットに下層収束、スマトラとインドシナ半島（下層に強い加熱、上層に弱い加熱（チベット東端の南向き斜面））に非断熱過熱、スマトラの加熱は北上し（なぜ？）、オンセット時にはインドシナ半島の加熱と合体
    * インドシナモンスーンオンセット時：インドシナ半島で強い収束、非常に強い非断熱過熱（50kPaが中心）：：５月はインドシナ半島が世界の中心！！
    * 同じ時期、インドでは上層がいつも冷源（地表近くは加熱）
  • 安成
    (Masuda 2001)
    * 発散がQ1になるような量（鉛直積分）を計算し、中心の位置を図示（広い範囲の分布の中心を決定。微妙な差で位置が変わる可能性に注意）
    * 1-3月オーストラリア北の南半球に中心がある
    * ４月は西太平洋赤道付近にばらつく
    * ５月飛んでインドシナ半島南部のみ
    * 6-7月、インドシナ半島のベンガル湾岸へ少し北上
    * 8-9月、インドシナ半島と西太平洋
    (Li & Yasunari 2000)
    * インドモンスーン時、OLRでみるとインド西海岸とインドシナ半島西海岸〜ベンガル湾が中心
    * 対流圏上層の発散中心はインドシナ半島南部、その発散風の顕著な部分は中東で下降。中東の温度は下降流で上昇、断熱冷却（放射？）を起こす。
    (鈴木）
    * オンセット前から可降水量はかなり多くなっている。しかし，時々，乾燥空気が流入している
    * オンセット後は可降水量の多い状態が続く
  • 木口
    * インドシナ半島内陸での雨の降り始め時、風は中緯度編成風帯に属する
    * 内陸で先に雨が降り始めるばかりではない：平均場が内陸の雨を降らしているのではないかもしれない：年々で原因を見ていきたい
    * ４月の雨：中緯度の前線の端がかかって雨を降らしている：これが水蒸気を半島に供給？
  • 議論：
    * オンセットはなぜ起こるのか、定説はない
    * インドと違ってインドシナ半島はオンセット前から雨が降ることが多い（中緯度起源の擾乱？ローカルな対流？）。
  • 大手
    * 98年と99年とで同位体の変動パターンが違う
    * 10日ぐらいの周期の変動と可降水量の変動パターンとよく一致（可降水量が小さいときの雨は軽い雨が降っている）
    * 南西モンスーンが強いときには重い。南西モンスーンが弱い（南〜南東風）と軽い雨になっている
  • 高橋
    * 49年の雨量計の統計
    * 15-20半旬からだらだらと雨量が増える：インドモンスーンは急に立ち上がるので様相が大分違う：年々の変動が多いのか，各年で見てもダラダラ増えるのか？
    * ７月のブレークはなぜか？１：ITCZが北に上がるためか（GCMで山をなくしてもブレークになる）　２：７月は西風が強いので，山の風下で雨が降らない。：どちらだろうか？
    * 雨の季節内変動にあわせて農業の作付けの調整を行っている
• 午後
  
  • 高橋（続き）
    * タイ東北部ではブレークは目立たない（風下説に有利？），チェンライでは少し目立たない
    * オンセットは北部が最初（4月中下旬）
    * 雨季半旬降水量最初のピークは南（5月中旬）から北へ（5月下旬）：なぜ北上するのか？
    * 雨季の２番目の（一番高い）ピークは北から早く始まる
    * OLRでは見るとブレークはよくわからない。雲があるのになぜ雨が降らないのか。降水効率の問題？（インドでも同様な様子か）
    * 可降水量はブレークじでもあまり変わらない
  • 鼎
    * GCM T106，インドシナ半島を海にした場合を計算
    * 最初の降水量ピークは，海にしたほうが高い
    * ブレークは海でも出る
    * 後半は海と陸とは変わらなくなってくる
    * 地形はそのままで地表面を海にしただけ
  • 大楽
    * モンスーンオンセットを領域モデルで再現した論文を紹介(Vernekar & Ji 1999, J. Clim.)
    * GCM（R40L18） 4/15,16,17の初期値にしたアンサンブル，それに領域モデル（eta座標，dx=80km, 38L）を54時間でリセットしながらネスト
    * 領域モデルでは急なモンスーンオンセットを再現，GCMだけだとなだらかな雨量増加になる
    * 1987年（エルニーニョ）ではインドネシアで降水量が減ってインドシナ半島では増えた（！）
  • 大滝（蔵冶）
    * メチャムでは14時に日変化の雨のピーク
    * 西にある斜面（東向き斜面）では雨量標高依存性が強い
  • 安形
    * fine scale Land-Surface-Model（水田入りSiB2）を動かす予定。
  • まとめ（荻野）
    * 今後
    　　定期的？随時？
    　　オンセット？ブレーク？終了？
    * インドシナ半島の季節進行をテーマにすれば（安成）
    * なにかGAME-Tで新しいことがわかるのか（大手）